エリック・サティと白昼夢
時折、日常を遠くから眺めてみたくなる。
最近、健康のためにウォーキングというか、散歩を始めた。
歩く間はいつも音楽を聴いているのだが、歩いている時はどんな音楽が相応しいのか、いつも迷う。
今日は題の通り、サティのピアノ曲を聴いていたのだが、これが想像以上に良かった。
聴いたアルバム↓
- アーティスト: Various artists
- 出版社/メーカー: Splendid Music
- 発売日: 2014/10/22
- メディア: MP3 ダウンロード
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特に最初の3つの「ジムノペディ」は、日々の感情の起伏をモノトーン色に変え、全てを包み込んでしまうような力があると、私は勝手に思っている。それは魂が浮遊して自分自身の姿を遠くから眺めるような、あるいは自分が死んだ後の世界を見ているような、通常離れることのない日常から「浮いた」状態を想起させる。
ウィキペディアによるとこれらの曲にはコンセプトがあるという。
『ジムノペディ』 (Gymnopédies) は、エリック・サティが1888年に作曲したピアノ独奏曲。 第1番から第3番までの3曲で構成され、それぞれに指示があり、
* 第1番「ゆっくりと苦しみをもって」 (Lent et douloureux)
* 第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」 (Lent et triste)
* 第3番「ゆっくりと厳粛に」 (Lent et grave)
となっている。
調べてみて初めて知ったのだが、第1番の「苦しみをもって」という言葉は私にとっては斬新な言葉だった。「日常から浮く」という私の印象は、サティの中では「苦しみ」だったのかと。
自分語りになるが、私は一年大学を休学したことがある。
もしその一年間を映画にして、BGMを流すとすれば、間違いなくサティの「ジムノペディ第1番」になると常々思っているのだが、それを考えると「苦しみ」という言葉は確かに当てはまるのかもしれない。(休学についてもいずれ書こうと思う)
これらの曲を散歩中に流すと何が良いか。
真の孤独に浸れるのである。
一人で歩いているその道が、いつもと違って見える。
ピアノの音の合間に、単調な蝉の声が溶けていく。
道には私以外、誰も、いない。
……暑さで頭がおかしくなっただけかもしれない。
真夏に外を出歩く時は、水分補給をまめにしましょう。